東北へ。〜波乱の奥入瀬珍道中〜

奥入瀬渓流、白神山地、弘前城…
かねてから行きたかった北東北に、休みを利用して行ってきました。

が。

襲い来るのは、史上三本の指に入るんじゃないかというほどの波乱の連続。
はたして、私は無事帰って来れたのでしょうか!?
渾身のレポをぜひご覧ください。

1日目
青森(弘前)の天気:晴れのち豪雨

弘前城
新青森からさらに西へ進み、一路弘前へ。
駅に着いたと思ったら、弘前城まではさらに距離があるんですね。
タイミングよくやってきたバスに飛び乗り、弘前城を目指します。

弘前城・追手門

弘前城は、規模としてはかなり小さな部類に入る城なんじゃないかと思います。
過去の遺物も残ってはいるのですが、見学の大半は公園散策が中心になってきます。

公園内には現存している櫓(やぐら)も多い

弘前城のビューポイントとしては、桜祭りのポスターで有名な「下乗橋からの天守閣」が有名ですが、これは桜があるから映えるって部分もあるんだろうなと感じました。

下乗橋からの天守閣
個人的には、その構図よりは、東内門の方角から見た天守の方が、天守らしくて好きです。

東内門から見た天守閣

その天守閣からは、空気が澄んでいる日は岩木山がはっきり見えるようですが、この日はうっすら見えるくらいでした。

天守閣から岩木山方面。やや霞んで見える

弘前城の見学時間は、観光協会の方曰く「普通の方なら1時間、好きな人なら2時間」と言われましたが、植物園を除いて回ったら、おおよそ2時間以上が過ぎてました。
見所は本当に多いです。

今の時期の濠は蓮でいっぱい

桜の木がアーチ状に植えられている西濠、もちろん今は新緑の時期です

写真はこのくらいにとどめておきますが、本当に鑑賞スポットは際限ありません

藤田記念庭園
この日は、藤田記念庭園が無料公開ということで、せっかくだからとお邪魔してみました。
ここは最近の話題としては、大正浪漫喫茶室などもあるのですが…

大正浪漫喫茶室

素材としては、悪くはないんです。
ないのですが、ひとつの目玉である滝が工事中でブルーシートがかかっている状態なので、もしこれで料金を取るのであれば、それなりに批判はあるんじゃないかなと思ったりしました。

庭園。悪くはないが工事箇所が多いのが難点

弘前の街を散策
弘前の街中には、洋風建築の建物群が立ち並んでいて、それだけで見所満載です。
ミニチュア建造物群は東武ワールドスクエアを彷彿とさせますね。
東奥義塾の中には、なんと建物内にブランコがあって、度肝を抜かれました。

旧弘前市立図書館

ミニチュア建造物群

旧東奥義塾外人教師館

山車展示館

なお、この時点で雨が降り始め、相当強くなってました。

青森銀行記念館
雨宿りもかねて入った青森銀行記念館は、とてもよい建築で、じっくり見てしまいました。
落ち付いていて雰囲気もよく、その時代の洋風建築がここに詰まっていて、見る側を洋風建築への憧れや浪漫の世界に誘ってくれます。
弘前に寄った際は、ここはぜひ立ち寄ってほしいです。

青森銀行記念館(旧第五十九銀行本店本館)

館内は非常に落ち着いたたたずまい

2階への螺旋階段

2回の様子

シャンデリア

弘前は今日も雨だった
ここから、次はキリスト教関係の建築を見ようと思った矢先、雨がゲリラ豪雨となって襲ってきました。
無理に進もうとしても全然ダメで、挙げ句の果てに私の靴は水没。
泣く泣くキリスト教建築は諦めて、もう意地でずぶ濡れの靴をずって駅に向かいました。

なお、この話は後に芸術的な逆転劇に繋がりますので、よく覚えておいてください。


観光協会さんや宿にお世話になって、なんとか宿泊地に辿り着き、次の日を無事に迎えることができました。

小噺:十鉄三沢駅にて
一般の観光客と受付の方の会話
「このあたりにコンビニはありますか?」
「このあたりにコンビニはない。」

微笑ましい(?)やりとりでした。

2日目
青森(十和田)の天気:晴れのち雨

小噺:十和田電鉄とは
十和田電鉄は、かつて十和田湖にに向かう鉄道を運行していた会社でした。
今は十和田市周辺のバス輸送を行っています。
そう、電車は廃線になってしまったんです。
しかし、各地のバス停はバスターミナルなどと名前を変えることなく、今でも○○駅。
駅の売店に、廃線危機を迎えて生き残った銚子電鐵のぬれせんを売っていて、色々感じるものがありました。

奥入瀬渓流
今回の旅行のメイン、奥入瀬渓流です。
散策のスタート地点である焼山から、湖の到着点である子の口までは約14km。
“この行程を踏破してこそ、奥入瀬渓流に行ったと言えるのではないか”とまた変なことを考えて、無理矢理決行に移しました。
その結果、どうなったかと言いますと…

奥入瀬渓流入口

奥入瀬渓流 迷子編
道に迷いました。
焼山から子の口までのフルコースを歩こうと思っていましたが、これが間違いでした。

困ったことに、迷った先も景色が悪いわけではないのです…

ただ、これ、標識が全然出てないのも問題なんですよ。
私以外にも、何組も迷っている人がいて、二度も引き返して道を聞き直したくらいです。
奥入瀬渓流としての案内看板がほとんどなく、別の案内板があって、それは逆に十和田湖から遠ざかるルートになっているんです。

世界遺産だから迂闊に看板が立てられないのかなと思ったのですが、よくよく考えてみたら、奥入瀬渓流は国立公園だけど世界遺産じゃない!
もう少し、分かりやすい道にしてほしいものです。

なお、この時点で1時間以上時間が押し、このまま行くと帰りのバスに乗れない説が浮上してきました…

奥入瀬渓流 苦行編
序盤はまさに苦行でした。
まず、先程申し上げたように標識がなく、今自分がどの位置にいるのかがほとんど把握できません。
また、それに輪をかけて、渓流沿いの遊歩道が道なき道なんです。
熊野古道ほどのアップダウンはないものの、両脇の樹木や草花が育ちすぎていて、掻き分けながらでないと全く進めません。
しかもこの時点でまた小雨が降ってきて、雨ガッパ着用のうえで、スタミナが奪われるような状態の行軍となりました。

この写真も、まだ「写真を撮る気力がある」段階のところですので…場所によってはもっと歩きにくいです

奥入瀬渓流 アメ編
石ヶ戸に近づいた頃から大分印象が変わってきました。
山歩き(確実に200m登るっているのである意味登山です)に慣れてきたからか、渓流に目が行くようになったんですね。
そこで出てくるのが三乱の流れ。
奥入瀬渓流らしい景色をやっと見ることができました。
これまでは遊歩道が奥入瀬川から離れていたりして、あまり渓流沿いを歩けている感じではなかったのです。

(たぶん)三乱(さみだれ)の流れ。とても迫力があって、行きづらくてもここだけは外せないスポットのうちの一つだと言えます

石ケ戸(いしげど)。多くの方はここから歩き始めて、少し遡って三乱の流れを見に行きます。とても効率的です…

この辺りからやっと○○の流れとか○○滝など、奥入瀬渓流の見所といったスポットが登場するのですが、実は私が好きだったのは、実は穏やかな流れの部分でした。
激流は色んなところにありますが、奥入瀬のよさって、豊富な水を湛えながら、それがゆったりと流れていく様のような気がしてならなかったんです。

ここからは渓流美をお楽しみください









馬門岩

阿修羅の流れ。奥入瀬渓流で一、二を争うスポット

雲井の滝

白絹か白糸の滝だったような気がする…

色々な流れや滝には名前が付いていますが、それを全部見つけるのは至難の業です。
途中からどうでもよくなって、いい風景の部分しか撮影してません。
その大半は名前も着いていないような流れなんですよね。
でも、それがいいんです。



白銀の流れあたりのはずだが名称不明









九段の滝

奥入瀬渓流 歓喜編
途中は結構きついところもあったので割愛します。
奥入瀬渓流も佳境に入り、一大ビューポイント・銚子大滝を迎えます。
ここは非常に分かりやすく、なおかつ誰もがすごいと思う水量を湛えた滝で、ガイドの方が冗談混じりに“ジャパニーズナイアガラ”と言っていたのも頷けます。
滝の飛沫が遊歩道まですごい勢いで噴きかかるので非常に爽快でした。

銚子大滝。この写真だと小さく見えますが、とてつもなく迫力ある流れ

奥入瀬渓流を一枚で示す写真を撮ったはず…だったんですが、全く意図が読めない写真になってますね

銚子大滝を過ぎると、子の口はもうすぐそこ。
14kmの無謀な大冒険は、なんとか終わりを迎えました。
なお、翌日は背筋痛と極度の足痛に襲われることになります…

なお、奥入瀬渓流完走は、多くのガイド誌でもそこまで大変とは書かれていませんが、そもそもそれだけの距離を歩くこと自体が大変なわけで、個人的には、初見での完走はオススメしません。
ショートカットできる場所は、意外にあるので、バス併用を薦めている冊子を参考にしていただければと思います。

十和田神社
さすがにもう『歩きたくないでござる』状態なので、バスで十和田湖畔の終着、休屋に向かい、そこにある十和田神社へ。
思っていたよりも歴史がある神社だったので、願わくば満身創痍でないときに来たかったですね。
近くには十和田湖名物の高村光太郎作『乙女の像』があり、「ああ、十和田湖まで来たんだなあ」と感じます。

十和田神社

拝殿はとても趣がある

余力があれば本殿もしっかり見たかったですが…いい神社です

十和田湖(休屋)

乙女の像

JRバスの本気
この後は、バスで北上することにしていたのですが、このバスが観光バスさながらのアナウンスを流していて、それを全く期待してなかったのもあってかなりよかったです。
そもそも、このバスは各地の温泉地を繋いでいくようなルートになっていまして、そのなかで停まった蔦温泉の外観がとてもよくて、次は此所に行きたいなと思いました。

蔦温泉。次は行きたい

温泉地の案内はもちろんのこと、八幡平や八甲田山についても触れていき、八甲田山については雪中行軍にまで触れてました。
そこまでやるか、という感じではありますが、かなりすごかったです。

弘前キリスト教会建物群夜間ライトアップ
弘前に戻り、宿を探しているときに、ある建物がライトアップされていることに気付きました。
実はこれ、雨で泣く泣く断念したキリスト教建築はのひとつ、昇天教会だったのです。
ここでピンと来たワタクシ。
もしかすると、他のキリスト教群もライトアップされているんじゃないか、と。

弘前昇天教会(日本聖公会弘前昇天教会教会堂)

これがビンゴで、結果から行くと3つの教会の、しかもライトアップしている姿を見ることができました。
結果オーライというか、逆に出来すぎなくらいですね。
神は乗り越えられる試練しか与えないのです。(無駄にJINの明言を投入してみる)

カトリック弘前教会

日本キリスト教団弘前教会

3日目
青森(深浦)の天気:前日までが嘘のような晴れ

小噺:五能線
弘前と東能代を結んでいる五能線。
五所川原と能代を通るから、細かいことを無視して五能線と付いたのかなと思っていたのですが…
実は、能代線と五所川原線を合わせてできたからそういう名前になったようです。
今回は時間の関係で利用できませんでしたが、「リゾートしらかみ」号などを擁する観光路線としても人気です。 なお、昼間はふつうに4時間電車が来ないこともありますのでお気を付け下さい。

五能線の車窓から

白神山地・十二湖

白神山地の中でもなかなか行くのが難しい、日本海側の深浦町に広がる湖群です。
厳密には世界遺産ゾーンには入っておらず、緩衝地帯(バッファゾーン)ですらないのですが、非常に豊かな自然が存在しており、特に十二湖の青池は有名です。

鶏頭場の池

青池と三十三個の湖群
青池は、予想したよりも青く、たぶん写真では写らないけれども印象に残る青さです。
写真で見る綺麗さとは、また違った色合いです。
本当にこの写真より青くて、青い絵の具をとかしこんだような、そんな色なんですね。

青池

青池と光

この池が青く見える理由については、解明されていないんですよね。
ただ、空の青や葉の緑を写したわけでは全くないことだけは確かです。

この池が突出しているわけではなくて、沸壺の池や後述する小夜の池も似たような性質を持っていて綺麗でした。
落口の池は自然との調和が非常によくとれていて好きでしたね。
ひとつひとつの池に物語があります。

沸壺の池

落口の池

王池(王池東湖)

小夜の池
地図に書いてあるのに、いまいち位置がはっきりしない“小夜の池”という池があって、この池が青池と同じような感じで綺麗みたいなんですね。
聞き込みを行ったところ、どうも「ガイドがいないと厳しい」とのことで、『じゃあ逆に行ってみよう』とまたバカな考えが思い浮かぶわけですね。
結果から書きますと、ガイドがいないと結構危険でした。

舗装されている道路からの入り口をなんとか発見。
そこからほぼ獣道を進んでいくわけですが、分け入っても分け入っても山。
なかなか着かないうちに体力が奪われるワインディングロードです。
熊野古道も青ざめるくらいの道ですので、確実にガイドの方に案内してもらったほうがいいかと思います。

やっとたどり着いたときの光景は、たぶん忘れないでしょう。
十二湖のなかで、もっとも好きな池になりました。

小夜の池。全貌を撮る余裕がないというか、草木が茂りすぎて撮影できません

発つ鳥跡を…
その後、その先にある影坂の池まで行って、帰ってくる途中に、ぬかるみに嵌まって片足を突っ込みました…
まあ泥は意外と乾くので、なんとかなりましたが、無茶をしました。

最後はバスを使わず、駅まで4キロくらい下山。
アメリカのグランドキャニオンを髣髴とさせる日本キャニオンを背に、ふもとまで下ってきました。

日本キャニオン


その後、秋田でどうしても食べたいものがあったので、秋田回りで帰ってきました。

まとめ
雨でずぶ濡れのぐちゃぐちゃになり。
道に迷ったあげくオーバーペース気味に歩いて、後ろにダメージを残し。
泥沼に片足を突っ込み…
すべてが良い旅だったかというと、そうとも言い切れない所があります。

それでも、昔から行きたいと思っていたところに行けたというのは、良かったです。


今回も、いろいろな人に助けられました。
そして、自分で挑んでいき、而して破れたり、うまくいったりということも、かなりありました。
無難に旅を終えることは、きっとできたと思います。
雨宿りすれば、無駄に濡れることもなかった。
バスを使えば、意地で歩かなくてもよかった。
もう少し先に行けるなんて思わなければ、ぬかるみに足を踏み入れることもなかった。

でも、それが旅の醍醐味でもあると思います。
無難に無難に、計画をただただ遂行して行くだけでは、きっと面白くありません。


こんなにぐちゃぐちゃな旅、久しぶりでした。
もちろんいい意味で。



執筆 2014年7月22日
TOPへ戻る