真夏の日豊本線を行く〜東九州旅行記〜



なつはあついですね。
そんなとてつもなく暑い時期に、こともあろうに南国で有名な東九州に行ってきました。

今回のメインの目的は高千穂峡で、次点として鵜戸神宮。
しかし、実際に計画を立ててみたら、あれよあれよという間にどんどんエリアが広がって行き、結果として南は鹿児島の霧島神宮から、北は福岡の小倉城まで巡ることになりました。
日豊(ニッポウ)地域は実際には宮崎と大分を指すようですが、日豊本線には小倉から霧島神宮駅の間まで往復するくらいお世話になったので、このタイトルでいいでしょう。

1日目
当初の予定では、1日目は移動するだけの予定でした。
しかし、鉄道に乗る、その時点で旅行の始まりなんですね。

山陽新幹線の車窓から
山陽新幹線の福山駅付近で海岸の工業地域を車窓に見ることができたのですが、それがとても好奇心が高まる風景でした。
写真こそ撮りませんでしたが、工場萌えがわかるような、そんな浪漫あふれる風景でした。

日豊本線の車窓から
九州の鉄道に乗ってみて驚いたのは、その車窓からの風景が素晴らしいことです。

東京から距離があるからでしょうか、車窓から見える街並みが、いい意味で10年とか20年くらい前のよき時代の日本という感じがして、飽きずにずーっと眺めていました。
車窓はどこへ行ってもそんな感じで見ていて飽きませんでした。
なるほど、ななつ星みたいな企画が成り立つわけです。
とりわけ日豊本線は、特急でも鈍行でもオススメです。
大分の海も穏やかでよかったです。

日豊本線の車窓から

宮崎
宮崎に入ってまず感じたのは「生えてる植物が全然違う」ということでした。
元からそういう風土だからなのか、意図的にそうしているのかはわかりませんが、いかにも南国に生えていそうな木がそこかしこにごくふつうに生えてるんです。
これには度肝を抜かれました。
目隠しされて連れて来られたら、きっと日本だと信じられないと思います。
まさにそのくらいの熱気です。

宮崎駅前の様子。明らかに私の知っている日本とは違う

そして特筆すベきはその活気。
地方都市って、やっぱり疲弊しがちで寂しい部分がどこかしらにあるものなんですが、南国ムードもあるのか、宮崎は歩いていてどこでも活気を感じました。
プロ野球のキャンプとかもありますし、そういった影響もあるのでしょうか。
チキン南蛮とか、マンゴーとか、ご当地のものも食しましたが、やっぱりおいしい。

宮崎県庁

確かに、これはどげんかせんといかんですね。
いや、政治の話ではなく、庭です。
庭園があるのですが、まるで南国の熱帯植物園のように熱帯植物が所狭しと生えているのです。
あのまま放っておいたら熱帯になってしまいますよ。
これはどげんかせんといかん。


2日目
台風ではないものの、生憎の雨模様でした。

縮小してもわかるこの雨(霧島神宮の神橋)

霧島神宮

宮崎から少し足を延ばして、鹿児島県にある霧島神宮へ。
雷鳴とどろく悪天候のため、あまりゆっくりはできませんでした。
交通の便があまり良くないというのもありますね。

当日は、お祭りの準備だそうで、セッティングがされている中での訪問となりました。
雨の影響もあり、よく写真で見るようなあの朱さは目立ちませんでしたが、本殿の屋根部分などは流石でしたね。
もう少し見たかったのが正直な所でした。

拝殿全体図

拝殿。撮って帰ってきたのを見るとそれでも朱い

青島
宮崎に戻って、人気の景勝地、青島。
あまりにインパクトがすごすぎて笑いが出ました。

それでは問題の画像をご覧ください

人が賑わう青島への通りを抜けるといきなり目の前が開けて、海が見えたと思ったら、向こうまで届く大きな橋が出てきて、でっかい森が浮いているかのような島につながっていて、まあこれが青島なのですが、その周りに”鬼の洗濯板”があきれるほどの勢いで広がっているわ、森は近づいてみたら実際は熱帯林だということがわかるわで、さらに島の周りを囲む浜を歩いていくと申し訳程度に朱い鳥居が見えて、これが青島神社の鳥居なわけです。
で、その神社は件の森の中にありまして、さらに逆に神社の中に熱帯林がある、という、文字にすると万城目学も吃驚のなんだそれという景勝地なわけです。

これが話題の青島。申し訳程度に右端に鳥居が見える

あきれ返るほどに広がる鬼の洗濯板

鬼の洗濯岩はこういう構造になっています

青島神社山門

青島神社拝殿

※神社の中です

多少は人の手が加わっているとは思いますが、有る程度自然でできたのも事実。
こんなとんでもないのが今に残っているというのが、宮崎のすごさだと思います。

鵜戸神宮
歴史・神話好きはニヤリとするであろう”ウガヤフキアエズノミコト”を祀る神宮です。
海岸沿いの岩場に立つ、下り宮の参道が印象に残るお宮なのですが、こちらも青島ほどではありませんが、やはりインパクトが強い所でした。

鵜戸神宮楼門

石段を登り終えて、朱く縁取られた参道を下っていくと、まず見えてくるのは本殿ではありません、海岸と奇岩群です。
それだけで人が呼べそうなところで、あれ、場所間違ったかなと思うくらい。
そして、本殿があるのはなんと洞穴の中です。
本殿はぐるりと回れるようになっていて、お乳岩なる奇岩があったりと、その独特さは青島にも勝るとも劣りません。
下り宮であることばかり取り上げられますが、海岸線沿いにあることや洞穴の中に本殿があることも注目されていいんじゃないかなと思いました。

よく写真等で見かける光景

神社だけでなくこの風景

鵜戸神宮拝殿。洞窟の中にぴったり入っているような感じに

個人的に好きな構図

少し前の写真では、参道を下りきったところに手水舎がありましたが、もっと手前側に移築されてしまったようです。
このほかにも御陵など見どころはあるのですが、天候が悪かったこともあり断念しました。


3日目
この日も午前中は前日に引き続き悪天候。
しかしこれが奇跡を生むことになります。

高千穂に至るバスの中で〜日之影町〜
ちょうどバスで日之影町を通っている頃でしょうか。
車窓に広がるは、一面の霧。
構造的には、雲海の一種といって差し支えないでしょうか。

これが目的ではありませんでしたが、見れたらいいなとは思いつつも、泣く泣くそのスポットである「国見ヶ丘」を断念してましたから、願ったりかなったりの風景でした。
前日、そして当日とずっと雨だったこともあり、大気中に水分が多かったのが功を奏したんだと思います。

今回の旅で、一番印象に残っていることです。
一生忘れません。

こんな光景が見れるなら土砂降りでもかまわないとずぶぬれでもかまわないと

高千穂峡
高千穂の街に入ってからも、霧が残っている状況。
そんな状況での高千穂峡でしたから、ワクワクが止まりませんでした。

高千穂峡に向かう道の途中で、普通に見れました

高千穂峡

朝一での高千穂峡だったので、実に過ごしやすかったのですが、
一点だけ雨の悪影響があって、川が淀んでしまっていたんですね。
次に来たときは、ボートにでも乗りながら堪能したいなあと思いました。

真名井の滝

押し寄せる柱状節理

おのころ池

道すがらこんな滝も

壮大な渓谷美

迫りくる柱状節理

勢いのある川が削り出した渓谷美も素晴らしいです。
永い年月をかけてつくられた岩肌の柱状節理も、それだけで圧倒してきます。
同じく自然の恵みによってはぐくまれた森林の緑も、もう文句のつけどころがありません。
でも、高千穂峡は川だけ取っても岩肌だけ取っても、100%じゃないんですね。
川と、岩と、緑と、それから空を一つの画用紙に収めることによって、本当の良さが出てくるように感じました。
あの雰囲気は、やはり現地で味わわなければ。

川と岩と緑と空と

高千穂大橋(上)と神橋(下)

高千穂峡最狭部

道路を挟んださらに向こうにも大きな滝が見えます

高千穂神社

造りとしては極めてふつうの神社なのですが、
雨の雰囲気も相まって荘厳な感じを受けました。
霊験あらたかとはこういうことをいうのではないでしょうか。


高千穂神社本殿。他の造りに比べて本殿がよく見えます

いいぜ(流石に飽きたので略)

そのふざk(ふざけてるので略)

天岩戸神社と天安河原
行くまでは、失礼ながら物好きしか行かない地だと思っていました。
しかし、岩戸地区が独立した観光スポットになっているんですね。
天岩戸神社と名前は付きますが、実際の天岩戸は禁則地であり、行くことができるのは天岩戸遥拝所までとなっています。
西本宮よりも天岩戸遥拝所の方が、さらにいえば東本宮の方が個人的に好きでした。

天岩戸神社(西本宮)鳥居

西本宮拝殿

天岩戸遥拝所。天岩戸自体は禁則地なので行くことができません

東本宮。こちらの方は誰も来ないのでちょとした穴場にはなっている

東本宮本殿。こちらも高千穂神社と同じく本殿がよく見える造り

アメノウズメ像。動きます。ファンタジスタッドー

天安河原は高千穂の中で一番行きたかったところで、いわずもがな神秘的だったのですが、もとは進行にもとずく要所なんだろうなということを考えると、そして自分も含めて、観光客が続々と訪れて写真を取っているさまを観ると、こういう取り上げられ方って、本当は望まれていないのかもしれないなあ…と考え込んでしまうところもありました。
聖地巡礼では必ずぶち当たる問題なんですけれども、考えさせられました。

天安河原への道中

天安河原。洞窟の中に本当に小さな祠がある

洞窟の中から外を。石が積まれているのは願いを込めて積むと叶うとのことから

図らずに撮った写真だが、神秘的な様子がわかる

廃駅・高千穂駅
高千穂線は現在は廃線になった鉄道だそうです。
しかし、その施設を今でも活用しているみたいなんですね。
鉄道はなくなっても、そこに列車が走った歴史は死なないのです。

高千穂鉄道廃線跡

鉄道の体験施設のようになっているそうですが、この日は雨でお休みでした

馬ヶ背

「馬ヶ背」という名前のインパクトからこちらを表題としていますが、実際は宮崎県日向市東細島地区、日向岬にある地形のことです。
陸が割れて海が間を通っているかのような奇勝は確かにとんでもない代物だったのですが、ここまで青島とか鵜戸神宮とか桁はずれにとんでもないものばかりを見てきたせいで、想像することが可能な、しかも写真とほぼ同じということもあって、インパクト的にはやや薄くなってしまった感があります。

インパクトという意味では、「地球が丸いことがわかる」という触れこみの日向岬展望台がよかったです。
展望がよかったのはもちろんですが、展望台(岬)の突端まで行くのには岩場を行かなければならなかったり、完全ではないものの馬が背を逆から見ることができたりと、岬のよさってこういうとこだよなあというのを堪能できるスポットでした。

日向岬展望台へ

日向岬を横から

展望台の突端から見た丸い地平線

実はこんな岩場でした

日向岬灯台

願いが叶うクルスの海。海が十文字に仕切られていることや、岩場と海で「叶」の字に見えることが理由らしい

にゃあ


4日目
前日や前々日とはうってかわって快晴。

坂の映える城下町・杵築
大分県に移って杵築(きつき)の街へ。
最初は名前すらも知らなかった街ですが、
観光ガイドで「坂」の写真を観たことで一発で陥落。

志保屋の坂から酢屋の坂を見渡す。テレビでよく使われる風景

一番低い平地から、南北に向けてがそれぞれ小高い丘になっており、その丘の上に武家屋敷が広がるという城下町です。
古くキリシタン大名の大村氏がいたり、松平氏が収めたこともある地域で、現代は酢屋の坂と志保屋の坂の”サンドイッチ状の坂”がドラマのロケ地などとして有名になっています。
その他に飴屋の坂などもあり、見た目は急ですが、歩いてみるとそれほどでもありません。
まだ神戸の旧居留地のほうがきついと思います。
海に突き出した地域のため、高所や展望台からがいい眺めになりました。
杵築城は復元天守ではありますがいい城で、杵築の海もしっかり見渡せます。

酢屋の坂

志保屋の坂

青莚神社

杵築城(再建)

杵築城から見た風景





杵築城敷地内にある石造物公園

磯矢邸、能見邸、大原邸、一松亭、矢野邸など、かつての名家がそのまま町並みに残っているのも杵築のいいところ。
古くからの木造ゆえ趣があり、飾りっけがないのがまたいいですね。
なんと、先週は皇太子殿下がお越しになったそうです。

勘定場の坂

北台武家屋敷通

藩校の門。現在は小学校

磯矢邸

能見邸

大原邸

一松邸

一松邸から杵築大橋方面

南台武家屋敷裏丁

きつき衆楽観

佐野家

番所の坂

こういった街並みや建物は観光の意識もあり、観光地風にされてしまうことが多いですが、しかしそのまま残そうとしているところがいいのだと思います。
係員も親しみを持ってくれ、こちらが必要ないと感じたときはすっと引いてくれるあたり、人柄が出ているんだろうなあと感じました。
押しつけではなく、しかし知りたいことを知りたいときに教えてくれる。
観光のあるべき姿なのかなと思います。

今回の旅で一番私らしい観光ができたのがここかなと思います。

宇佐神宮
古く行けば宇佐八万信託事件とか、
最近では「お宇佐さまの素い幡」とか、
「本能寺遊戯」の題材にもなりました、
全国の八幡神社の総本山です。
色々あってバスを逃し、宇佐駅から歩いた関係で疲労困憊状態でしたが、
広大で緑豊かな敷地にとても朱が映えるその様子は、どんな状態でも目に飛び込んできます。
とにかく朱かった。

神橋

大鳥居

茅の輪くぐり

若宮神社

願掛けををする場所が3箇所あり、
1、2、3の順に3回やることで一つの御祈りということで、
これはお賽銭が入るだろうなあとかそんなことを思ったりしましたが、
由緒正しい神宮ですので、そんなことはないと思います。

宇佐鳥居

西大門

宇佐神宮上宮(南中楼門)

宇佐神宮下宮

とにかく境内が広大で、池の方までは見れなかったので、見残しがいくつかあるかなあと思います。
今度は万全の状態できたいなあと思いつつ。

小倉城

ついでのついで、乗り換えのついででしたし天守閣にも入らず、
本当にふらーっと行った城でしたが、予想していたよりしっかりしたいい城でした。

まとめ
2年前の旅行で関門トンネルを使って上陸し、門司港に行ったことはありましたが、
九州だけに絞った旅行は、初めてでした。

旅行に行くたび毎度思うことではありますが、九州の方々も全体的に本当にあったかくて、せかせかしたところがなくとてもおおらかで、私がいた中ではあまりいざこざも見受けられなかったように思います。

景勝地としては目を疑うようなところが多く、印象的なところを狙っていってるので当たり前かもしれませんが、わりと印象に残ったところが多かったです。
印象深い出来事もいくつか。



あまりまとめになっていませんが、旅は成長だと思ってます。
私も成長しないとですね。




執筆 2013年8月8日
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