彼の巡礼の旅

近畿方面に聖地巡礼の旅へ行ってきました。

SNOWの聖地、美山町(京都府南丹市)、
AIRの聖地、高野山(和歌山県伊都郡高野町)、
宵山万華鏡の聖地、祇園祭・宵山(京都府京都市)。
特に前二つは、かねてから行きたかったところで、10年越しの達成と相成りました。

天候は大荒れでしたが、その分印象に残ったことも多かった旅でした。

1日目
鉄道で近畿入り。

夜の京都もいい

2日目
美山町
京都の北部に位置する旧・美山町(現・南丹市の一部)は、StudioMebius「SNOW」の舞台モデルとなった地域です。
稜線がSNOWの背景に本当に瓜二つで、目にした瞬間に感慨を覚えました。
同作品の地名モデルとなった和歌山県の旧・龍神村(現・紀伊田辺市の一部)と同じく、「美山町」という従来の地名がブランド化している町で、”ここには、ニッポンの原風景がある”というキャッチコピーを用い、田舎であることを全面に押し出す観光で注目されています。
「かやぶきの里・北村」では、白川郷ほどではないもののかやぶき民家が現存しており、のどかな風景を演出しています。

これが日本の原風景

アクセス
園部駅から出るバスを乗り継いで行ったのですが、早朝の便だったせいか、完全に地元民の足としてのバスで、観光に来たようなのは私だけでした。
地元の人に聞いてもバス停すら有名ではないので、お出かけの際はよく調べてからのほうがいいと思います。

雪月雑貨店
バス停を降りて真っ正面に見えるので、感動というよりもにやけが先に出てきました。
SNOWの雪月雑貨店の元になった野田商店です。
さすがにあんまんを売っている様子はありませんが、アユ関係のことをやっているお店のようですね。

雪月雑貨店(モデル)

かやぶきの里
眼前に広がるのは、自然豊かな緑一色と、立ち並ぶ懐かしい集落。
かやぶき民家で売っている地域は数あれど、これだけ広大な空間にゆったりと、そのままの集落が残っているところはないのではないでしょうか。

観光用につくっているわけでもない。
お店がたくさん出ていたりもしない。
しかし、ちゃんとそのままの姿を守っている、そんな感じがします。

かやぶき民家が密集している

この風景好き

稲荷神社

鎌倉社
龍神の社の鳥居のモデルと思しき社です。
イメージほど大きくはありませんが、これは一発でわかりました。
ちなみに段数は非常に少ないので、ここでお百度をしようと思えばできます。

鎌倉社の鳥居

鎌倉社

知井八幡宮
かやぶきの里の中にある、非常に古い神社です。
縮尺は違いますが、どうやら龍神の社の本殿のモデルの模様。
神社には「かつて鹿が化けて村人を驚かせたが、退治した人が…」という伝承が刻まれており、SNOWのプレイヤーならピンと来るはず。
鹿と兎…こんなところから持ってきていたのか。
すぴすぴ。

知井八幡宮神楽殿

知井八幡宮本殿

鉄塔登山〜かやぶきの里を上から
SNOWにはかやぶきの里を上から見た構図の絵があります。
多くの方がその地を目指して探訪されていたのですが、肝心の登り口の位置情報が全くなかったため、当初は登る予定はありませんでした。
ところが、諏訪神社の横のところに何か妖しげな登り口を発見しまして、これは登ってみようと思って登ったら、結果的にそれが当たったわけですが…

この柵が目印

とんでもない登山道というか、もはや獣道以外の何物でもないというか、無事に帰ってこれたのが奇跡なくらい斜度もあるし道なき道でした。
というかこれ、LEGEND編における御一行の逃避行ルートのモデルになったんじゃないだろうか…
USO9000さんのレポにありますが、本当に軽い気持ちで行くもんじゃありません。
本当に3,4度足が滑りました。
危険度から行けば、私が今まで登った山の中で1,2を争うくらいの危険度ですので、行かれる方はどうぞ慎重に…

この橋を渡ったらもう獣道

山道はこんなもんじゃない

ただし、登り切った後の風景は格別でした。
かやぶきの里が本当によく一望できるのです。
そして、本来の目的とされている鉄塔も、いいですね、クロチャンぽくて。

山頂から見たかやぶきの里

クロチャンの鉄塔に見える。生きてる人、いますか?

なお、下山時に雷が鳴りはじめて、下山しきった当たりで大雨が降り始め、思わず「この繰り返しも天罰なのですか、龍神様あああ」と叫んでしまいました。
下山があと10分遅かったら多分無事ではなかった、本当によかったです。

自然の宝庫
急な豪雨から逃げ、鹿料理を食べ、雨が弱まったあたりで再び散策に。
鹿もなかなかでしたが、ここは野菜がとても美味しいです。


美山町に何があるかといえば、自然だと思います。
道すがら、ふつうにカエルやサワガニを見ることができたり、
地方と言ってもその中の都市部では失われてしまった風景が、そこにはあるんです。

かやぶき民家以外はほぼ何もない。
かやぶきだけでは白川郷や五箇山の方が大きいし有名。
それでも、この自然は他に引けを取りません。
圧倒的な、何のレッテルも要らないそのままの自然が、ここにはあります。
それが、原風景なのです。

かやぶきの里遠景

良い風景

この景色には自然が山ほど詰まってる

沈下橋(増水するとそのまま川の中に沈む橋)

芽依子がひょっこり顔を出しそう

奇跡の一枚

神田の水
かやぶきの里を後にし、バスを乗り継ぎ「美山名水」で有名な神田の水へ。
この湧水はおいしいと評判で、実際に飲んでみましたがとても鉄分豊富な味でおいしかったです。
わざわざ汲みに来ている地元の方も多いようです。

神田の水

霧が龍に見える

道祖神社
バスの乗り継ぎ地の近くにあった、こちらも由緒ある神社です。
作りは知井八幡宮と同じような感じ。

道祖神社鳥居

道祖神社山門

道祖神社拝殿

このあとは、大阪に宿を取って翌日に備えます。
なんか道頓堀で何かやってたらしく、船が通ってました。

3日目
高野山
弘法大師が819年頃に開いた真言宗の本山であり、それ自体で聖地なのですが、我々としてはもう一つ、Key「AIR」の SUMMER編の舞台としても知られている地域です。
その高野山を抱える高野町は、高野山の巡礼・観光を中心として成り立っている宗教都市であり、もちろんそこかしこに寺院ばかりが立ち並んでおり、聖地特有のまちづくりが行われています。

高野山へと続くロープウェイ。急峻

大門
さて、ここに来たらこの台詞を発さずには居られません。
それではみなさんご一緒に。
「「「おのれ高野山!」」」

というわけで大門です。
高野山全体の山門にあたり、鉄道が通る前はこちらが表入口になっていたようですね。

大門。逆光なのが惜しい

いいぜ、てめえが何でも思い通りに出来るってなら

まずはそのふざけた幻想をぶち殺す

壇上(場)伽藍
高野山金剛峯寺における伽藍(主要建物群)で、高野山二大聖地の一つと言われているそうです。
境内には後述の本堂や根本大塔をはじめ大小形態も様々な建物が並んでおり、一つ一つがとても特色あふれる作りとなっています。(中に入れるのは前述の2つだけ)
比叡山延暦寺では、東塔、西塔、根本中堂などが全く別の場所にありましたが、高野山の場合はここ一か所に集められています。
なお、中門は現在修復作業中だそうです。

大会堂

御影堂

孔雀堂

准胝堂

鐘楼

西塔

回廊

山王院

御社

六角経蔵

三昧堂

東塔

言の葉の庭(嘘)

根本大塔
遠くからでもわかるとにかく目が覚めるような朱塗とその大きさが特徴的な、壇上伽藍の中心塔。
内部には貴重な仏像が何点も収められています。

根本大塔

金堂
かつては講堂とも呼ばれていた、高野山中心の御堂。
こちらは回廊を歩くことができます。

金堂

金剛峯寺
金剛峯寺は、元々は高野山全体を指す名称でしたが(比叡山延暦寺に延暦寺という名前のお寺がないのと同じ)、現在は管長が住むこの主殿を金剛峯寺と呼んでいるとのことです。

内部は襖絵などの重文を除いて撮影可能。
あまり撮影はしませんでしたが、石庭や枯山水、渡り廊下などが印象的でした。

金剛峯寺

石庭も流石

整然とした渡り廊下

金剛峯寺の良さが詰まっている

刈萱堂
石切童子ゆかりの寺です。

刈萱堂

奥の院
奥の院(弘法大師御廟)へは、一の橋から2キロほど石造りの参道を歩きます。

一の橋。ここから奥の院参道が始まる

この参道、ただの参道ではありません。
参道の両脇には名だたる皇室や公家、大名などのお墓がズラッと並んでいるのです。
有名どころを挙げれば織田信長、豊臣家、徳川家、あと伊達とか島津とかクボタ、パナソニックとかいろいろあった気がする…
キリがありません。
誰のお墓かはともかく、造りも独特なものが多かったです。
お墓は普通こんなところにありませんし、お墓の横を延々と歩くこともめったにないもの。
なんとも不可思議な面持ちで歩みを進めました。

仙台伊達家墓所

薩摩島津家墓所

まさかの十三重石塔

紀州徳川家七代宗将墓所

遠野にありそうな感じ

薩摩島津家初代(中略)墓所

石田光成墓所

明智光秀墓所

本多忠勝墓所

参道は終始このような趣き

パナソニック墓所

株式会社クボタ墓所

蓮花院墓所

加賀前田家二代利長墓所

安芸浅野家墓所

結城秀康石廟

豊臣家墓所

織田信長墓所

赤穂四十七士菩提碑處

奥の院の御廟橋の先は、写真撮影が禁止になっています。
この先には、弘法大師御廟やみろく石、そして仙陵(天皇や皇族の供養塔)があり、とても厳かな空間になっています。
弘法大師御廟では、内部に入ることができる他、地下の灯籠堂も拝見することができます。
なお、私語禁止ですのでご注意を。

高野山二大聖地のもうひとつである弘法大師御廟は、豪華絢爛な建物では決してありませんがとても厳かな感じがよく伝わってきました。

御廟橋。ここから先は本当の聖域

最初はAIR巡礼のはずだった高野山巡礼。
冒頭の「おのれ高野山」が、最後には称賛の意味での「おのれ高野山」に変わっていました。



祇園祭の宵山
夜になり、場所を京都市外に戻して宵山です。
毎年7月17日に行われる祇園祭の前夜祭にあたるのがこの「宵山」で、四条通りを中心に、山鉾と呼ばれるいわゆる「山車・屋台」が演奏を繰り広げます。

日曜×宵山=大 混 雑
祇園祭は日程が決められています。
つまり、毎回休日にあたるわけではないのです。
そして、今回の宵山は見事日曜というわけで、とんでもない人出。
コミケはわかりませんが、同人誌即売会の比じゃないですよ、これ。
宵山で今回ほどの人出になることはあまりないらしいです。

そら姉妹もはぐれますわ。(森見登美彦「宵山万華鏡」参照)

GJおまわりさん
W杯最終予選では「DJおまわりさん」が注目されましたが、こういうお祭りでももちろん活躍しています。
おそらく京都の警察官は、この時期に休みは取れないでしょう・・・
お疲れ様です。


歩行者”地獄”
雨の中、歩行者天国がスタートしました。
しかし、あとになって分かるのですが、正しくは「歩行者地獄」。
一方通行で露店の出ている道なんか、全く進まないし後ろからおしこくられるわで、ひどい有様でした。
最終的には、錦市場通りがどうしようもなくなっちゃったんでしたっけ…
京都の街は本当にエネルギッシュでした。

歩行者天国開始。まずは長刀鉾
山鉾
さて、祇園祭の最大の華は山鉾です。
見れる限り見て回ったはずなのですが、人も相当いて、動けなくなる危険性もあり、全部は見れませんでした。
飛騨高山の屋台ほど煌びやかという感じではないのですが、それぞれの鉾が特徴的な造りになっているのです。

月鉾

綾傘鉾

蟷螂山

大船鉾

宵山の間は山鉾が動かず、何と民家の2階に渡り廊下をつなげて、そこから出入りしてるんですね。
これはちょっと衝撃的でした。
その橋から一般の客も様子を見ることができるようで(条件は不明)、ちょっと羨ましかったのですが、そこまでの余裕もなく。

船鉾

昼が夜に重なるとき…

白楽天山

菊水鉾
限りなくブラックに近い藍…

黒主山

宵闇の世界

再び長刀鉾。お疲れさまでした

鉾の上にあがってる子ども達に手を振ったら振り返してくれたのはいい思い出でした。
やっぱり祭りはいいです、心が明るくなります。
人混みにギュウギュウに押し込められて、本当はそれだけでいい気分はしないはずなのに、それでも笑って許せてしまうのが、祭りの不思議なところです。


巡礼後記
じつは結構無茶しました。
宿はもう寝に帰るだけでした。
そこまで密ではない予定を組んだつもりでしたが、
何事もなく京都から和歌山へ行くルートを組んでたあたりが拍車をかけていたようです。

そして、いつもなら自分から質問をしていく筈が、今回はいつも以上に判断に迷って、その分色々な人に助けられた旅でもありました。
見るに見かねたのか、バスの運ちゃんや駅員さんとか、お坊さんまでもが
「あんちゃんこれ乗りなや」
「こうした方がええで」
と教えてくれて、関西ってあったかいなあと感じました。
それも、うわべだけでない、真心とでも言うべき、心からの"情"。
京都はこれで4年連続5回目。
大阪3回、和歌山も2回目になりますが、こうやって数多く行きたくなるというのは、 やはりそういった温かみを感じるというのもあるのではないかと思います。


"聖地巡礼ではあるものの、聖地巡礼ではない"
これが聖地巡礼における私のテーマです。
聖地を巡ることを目的としながら、行ってみたらそういったことをこと忘れてふつうに観光をしている。
それが聖地巡礼の理想系ではないかと思っています。

美山でSNOWっぽいところは数カ所です。
高野山も特に場所の明示はありませんし、宵山なんか「舞台が宵山だった」というそれだけです。(鉾の描写は作中にもありますが)
でも、それぞれがもともと魅力を持っているんです。

観光とは"光を観ること"。
いろんな明るさが見れたので、それだけでもう満足です。




見渡せばぴっかぴかのステキがいつも待ってる
         (アニメ「ゆゆ式」OP 情報処理部(大久保瑠美・津田美波・種田梨沙)「せーのっ!」)

執筆 2013年7月15日
TOPへ戻る