サンセット山陰紀行

ゴールデンウィークを利用して、山陰へ行ってきました。


山陰は、とにかく行ってみたかったところでした。
出雲大社や松江城は、どうしても行ってみたかったところですし、
その他にも鳥取砂丘や石見銀山など、数えきれないほどの魅力的なスポットであふれています。
しかも、数少なくなった寝台特急「サンライズ」の終着地でもあり、一度は行ってみたいと思っていました。

”山陰”という地が持つ不思議な吸引力みたいなものが、私を長い間引きつけてやみませんでした。

出雲大社の平成の大遷宮など、なかなかタイミングが合わず二の足を踏んでいて、
今回も、遷宮が終わってからゆっくり行ったほうがいいんじゃないかとも思っていたのですが、
「普通の出雲大社はいつでも見れるけど、遷宮なんて60年に1度しかない」
と思いなおしたことで、このタイミングで行くことにしました。

1日目
今回も、1年前の四国と同じように、寝台特急サンライズ(今度は「出雲」)で島根入り。
二度目にもなると勝手がわかってきて、ぐっすり寝てしまい、気づいたら松江でした。

2日目
松江市内とレイクライン
松江に付いてまず向かうのが松江城。
松江市内は「レイクライン」という周遊バスで回ることができるのですが、
なんとそのガイド音声を俳優・佐野史郎がやっているんですね。
松江の出身ということで、何も知らずに乗ってびっくりしました。

いかにも同人誌即売会で使われそうな「くにびきメッセ」をまわったりしながらバスは進んでいくのですが、
古い街並みというよりは、やや整備された街という印象を受けました。
人口20万いる都市ですので、しっかりした都市機能も有しているというわけですね。

松江城

日本に十二残る現存天守のうち、山陰に唯一存在する名状しがたい名城です。

写真で見るとびっくりするほど見栄え良く取れていますが、
彦根城や松山城など、もう少し大きな城をイメージしていたこともあって、
わりとこじんまりしていて、正直あんまり感慨がありませんでした。
石垣などは立派なんですけども。
やはり遠くから見るほうが映えるかもしれません。
あとは、個人としては、正面よりも側面のほうがなぜかしっくりきました。

横から見たほうが大きく見える

天守閣から見た風景、特に宍道湖方面はいい光景が広がっていました。

天守から宍道湖方面

城山稲荷神社

想定外によかったのが松江城敷地内にあるこちらの神社。
小泉八雲が愛した狐の像がある神社としても有名だそうです。

拝殿

そしてこの笑顔である

とても愛嬌のある狐の像も魅力的なのですが、
稲荷神社の造り的にも本殿がよく見えていたり、
また稲荷の最深部から堀川を眺めた時の風景がとてもよかったりで、
本当にいい神社でした。
松江に行ったら必ず寄ってほしいスポットです。

本殿がよく見える神社その1

この先の風景は思わず歓声を上げるほど

堀川

松江城の外堀に当たる堀川。
近江八幡の八幡堀のように船も運航されているのですが、
堀川自体がものすごく横幅がある川なので、また違った趣が楽しめます。
松江の独特な地形もあるんだと思うんですけど、不思議と落ち付いた流れです。

塩見縄手

「城の周りも観光地化させようとしてるんじゃないか」と思ってて正直なめてました。
まさかあんなに保存状態のいい松が並木のようになっていて、
かたや堀川、かたや武家屋敷群の整った建物群が連なっていようとは。
これまでも蔵の街、水路の街というのはいくつか見てきましたが、
それが複合されて、さらに松並木が加わったような感じです。
あの風景は、なかなか一朝一夕じゃ作れません。

歩道にこの松

小泉八雲記念館

小泉八雲の生涯と、ゆかりの品などが展示されている記念館です。
特に興味がなければスルーしてもいいかも。

小泉八雲旧居

こちらは小泉八雲が住んだ旧居に上がることができます。
純粋に昔ながらのいい家なので、
八雲に興味があるなしにかかわらず、一見の価値ありかなと思います。

この「ザ・日本」という感じが小泉八雲らしい

庭園も見事に管理されている

武家屋敷

中級武士がかわるがわる住んだと言われる武家屋敷です。
こういった屋敷はどこにでもあるもので、
最初は入ろうか迷ったところなのですが、
入ってみると意外と見どころが多く、
カメラマンの血が滾る、実に撮り甲斐のあるお屋敷でした。

家も庭もよい

質素な感じがさながら武士といったところ

出雲そば
今まで旅行記で食事を載せることはあまりありませんでしたが、
今回は食事テロでもしてみようかなと思います。


宍道湖

日本で7番目の大きさを誇る湖です。
夕日については後述。

宍道湖大橋

宍道湖うさぎ

島根県立美術館の庭に展示されているうさぎの銅像群です。
左から2番目のうさぎにシジミを捧げてお祈りすると縁結びの効果があるとかで、
なんかえらいことになってました。

うさぎってしじみ食べられるんだっけ…

うさぎがみた宍道の原風景

美保関
松江市内から美保関に公共共通期間で行くには一筋縄ではいきません。
まず美保関(万原)バスターミナルに行き、そこから町営のコミュニティバスに乗る必要があります。
当日は近くの小学生たちが遠足バスとして使っていたようで、車内では「変なお兄さんがいる」ともっぱらの噂でした。
どうも、大人の遠足です。

それにしても、路線バスのアナウンスって、よく聞いているとその地域がわかってくるんですよね。
バスにはさんざん乗っているはずなのに、今回はとりわけそう感じるところもあって。
「さびれた漁港」と形容できてしまいそうではあるのですが、
もう少し時間を取って居たかった、そんな地域でもありました。

美保神社

「大社だけでは片詣り」と称される、えびす様を祭る神社です。
全体的にとても歴史を感じる造り(美保神社独特の社が二つ並ぶ形式)で、人の出もあまりなかったので雰囲気も良かったです。

山門

拝殿兼神楽殿

社が二連になっている

毎日神楽をやっているという情報を耳にし、
それを楽しみで行ってみたところもあったのですが、
訪問した当日は開催されておらず、やや残念でした。

もしかするともう少し遅かったか

近くにあった「青苔の石畳」や、五本松公園、美保関灯台等が回れなかったので、
それも含めて、次回はぜひリベンジしたいところです。

宍道湖の夕焼け
宍道湖の魅力と言えば、やっぱり夕焼けです。
観光協会でも「夕日情報」というのを出しているのですが、
当日は夕日指数が60だったわりには良く焼けたなという感じでした。


何がいいって、みんなが盛んに夕焼けを取ろうとしている様子が風情があってよかったんですね。
今、どこを観光していても、
「このスポットは取らなきゃいけない」「ここに行った証拠を残さなきゃ」
みたいな感じで、半ば受動的に写真を取ることが増えてきちゃってるような気がするんですけれども、
あの夕陽の場面では、みんなおのずと写真が撮れていたような、
心から夕陽を待ち望んでいれたような、そんな感じがしたので、それが嬉しかったですね。

一畑電車より
一畑電車に乗っていたら、
「この電車は次の一畑口駅でスイッチバックします」
というアナウンスが入って、びっくりしました。
そういえば「八雲一家のローカル線ぶらり途中下車の旅」でも取り上げられてましたね。
駅スイッチバックは去年はまなすに乗った時以来だったでしょうか。
全く知らなかった人は、進行方向が変わったのに行き先が変わったわけではない事実に目を白黒させていたようです。

ちなみに、一畑電車は映画「RAILWAYS」の舞台でもあります

3日目
旧JR大社駅


出雲を訪れるにあたり、外したくなかったのがここ。
かつてJRが出雲大社まで延びていた際の、終着駅なんです。
立派な木造の駅舎が重要文化財として保存されています。

駅舎の中には入れなかったものの、ホームの中には入ることができました。
ホームは廃線になった当時のまま、よく保存されているようで、
また、なんとD51が展示されているんですね。

D51

時間の都合で、旧大社駅に入れた時間が本の5分くらいだったんですけれども、
非常に記憶によく残りました。

今にも廃線になった電車が走り込んできそう

出雲大社

今回の最大の目的である出雲大社詣でです。

勢溜(せいだまり)

平成の大遷宮の期間中ということもあり、本殿が全く見えないことも想定して、
それでも60年に1度のことだしいいかと思って行ったわけですが、
それでも本殿を拝むことができたので、よかったです。
しかも本殿が見れないのが遷宮じゃなくて工事の影響という・・・

長い長い参道

御仮殿(5月10日の鎮座祭まではこちらに神様がいらっしゃる)

本殿拝殿

奥に見えるのが本殿。囲いは取れている

神楽殿

稲佐の浜

旧暦の十月に神々が通るとされる「神迎の道」をガイドの方に教えてもらったので、
逆行するような形で稲佐の浜へ。
日本海に面しており、浜には弁天島という巨石が、ポツンと鎮座しています。
しかしこの巨石が島と言えるくらい大きなもので、
岩場の上にお宮があってとても驚きました。

日御碕神社

海も真っ青。
空も真っ青。
そんな自然に囲まれたところだから、神社の朱がとても映えます。
遠方から見た際はことさら目を引きます。

下の拝殿。天照大神はこちら

上の拝殿

出雲大社課から北西に位置する日御碕神社。
日本の昼を守る伊勢神宮に対し、
日本の夜を守るとして、天照大神が祀られている神社です。

回廊

近くにはウミネコの繁殖地があり、ウミネコが常に鳴いています。
ここにはおそらく「うみねこのなかないころ」がないと思います。

日御碕灯台

日本最大の高さを誇る、日本海の要の灯台です。
あまり大きさは感じませんが、実際にのぼってみるとその高さは歴然。
螺旋階段が延々と続くかのような錯覚に襲われます。
高所恐怖症の方や足腰に自身のない方は相応の覚悟が必要です。

展望台からの眺めは絶景で、日本海の陸海空を堪能できると思います。

海のあを

ザ・日本海

さて、ここから石見銀山に向かったわけですが、
接続時間12分で、連休で時間が込みがちなところ、
バスの運ちゃんが頑張ってくれたおかげで、電車に間に合いました。

出雲市駅
出雲市駅の発車音の出だしが「神々が恋した幻想郷」まんまで噴きました。

車窓から
写真は撮りませんでしたが、特急の車窓から見た日本海がとても素晴らしかったです。
車内の旅行者の若者らからも歓声が上がっていましたね。

石見銀山
世界遺産にもなった石見銀山へ。
観光案内所のおばちゃんに「すぐの便がある」と教えられて、急いでバスに飛び乗りました。

銀山地区

龍源寺間歩へ至る道は、まさしく自然たっぷりの道です。
銀山という意味でもそうですが、この道のほうを後世に残したいかなとも思います。
途中、清水坂製錬所跡から上にのぼる道だけは罠なのでお気をつけて。

清水坂製錬所跡

龍源寺間歩

整備された間歩にしては高さがないんですよね。
坑道跡や鍾乳洞は数多く行っているのですが、
ここまでしゃがんで通った間歩も珍しいと思います。

中はこんな感じ

大森地区

様々な評価がある地区ではありますが、個人的にも
銀山地区は○、大森地区は?という感じでした。
世界遺産たる理由があまり見当たらないんですよね。

悪くはないのですが、個人的に気になったのは食事場所の少なさと内容。
銀山に行ってパスタを食べるってのはどうも違和感を禁じ得ないところです。
養殖だけでなく、代官所跡前にある店のような和食をもっと増やしてほしいかなと思います。

城上神社

大森地区で唯一押せるのがこの神社。
なんと本殿に上がれて、”鳴き龍”を体感できるのです。
私自身、初めての鳴き龍でした。

お寺で鳴き龍があるところはちらほら思い浮かぶんですけど、
神社となると、ここ以外にはあまり思い浮かびませんね。
天井絵のインパクトも相まって、オススメできるところです。

この中央部の真下あたりだと反響する

ぜんざい
ぜんざいテロ。


松江しんじ湖温泉
再び松江市内に戻って、しんじ湖温泉へ。
夜になって気付くのですが、松江って夜景が素朴でいいんですよね。


泉質は、周囲は「熱い」と評判でしたが、
個人的には低い方かなと感じました。
ぬめりもほとんどなく、道後温泉の時のような保温効果もあまり無かった感じがしましたが、
昨年は今が高かったのと時間がもう少し早かったので、一概には比較できないところです。
今回は帰ってきても割とピンピンしてるので、温泉効果は間違いなくあると思います。

4日目
黄泉比良坂

日本神話でもおなじみ、この世とあの世をつなぐ道のことです。
現実では松江市東出雲町にあり、現実の名を伊賦夜坂といいます。

巨石アリ

私は早朝に訪れましたが、正直言ってしまえば、
神秘さも感じない、
怖さも感じない、
ただの坂…というか山道です。
ただ、形容すれば「あまり疲れない修験道の山道」みたいな感じなので、
歩いているうちに、もやもやが晴れて考えがまとまる道ではあるかなと思います。

ごくふつう

まあ、もともと「行ってパワーがもらえる」というのとはちょっと質の違うところですが。

JR揖屋駅北口を道なりに行き国道9号の高架をくぐる

この看板

この胡散臭い看板

揖夜神社

黄泉比良坂に行く途中にあった神社なのですが、
何故注目されないのかわからないくらい穴場のしかし雰囲気のある神社でした。

拝殿には、真正面になる部分に鏡があります…

造りは大社造り(と思ったら一部違うらしい)。
日本三代実録に名前が出てきたり、日本書紀や風土記等にもそれらしき名前が出てきたりするなど、かなり由緒のある神社のようです。

本殿が良く見える神社その2

ゲゲゲの米子駅

米子駅で「猫娘列車」に遭遇。
「ねずみ男駅」のギミックも見れたので、なかなか面白い乗り継ぎになりました。

ねずみ男像

階段なのです。怪談だけに!(CV:ふにゃー)

白兎神社

こちらも日本神話「因幡の白うさぎ」で有名な白兎神社です。

大国主と白兎

縁結びの神様ということになっています…が、
ぶっちゃけこじつけであるところが強いわけで、
しかもここがその因幡の地かはわからないそうなんですね。
正直「まちおこしが当たっちゃった感」がありました。
屋はいいつの時代も色恋沙汰はすごいですね。

拝殿

うさぎの像もたくさんあります

由縁には疑問符がつきますが、
神社として見てみると、本殿がここまで見えているというのはなかなかいいところです。

本殿がよく見える神社その3

「白兎神社で稲葉ジャンプ」というネタをやっているグループがいて笑いました。
なんですかそのニッチなギャグは…

道の駅・神話の里白うさぎ

見どころとしてはこっちなのかな、というところでは、道の駅が立派でした。
そして、うさぎ駅長の命(みこと)が皆様をお待ちしているとのことです。

うさぎの命駅長(4歳で長命とのこと)

白兎海岸

風が強かったです。

カレー
第3弾、カレーとインド氷テロ



鳥取砂丘

砂丘は予想の範囲を超えて広大で、東西18km、南北2kmにわたって砂丘が広がります。
あまりの広さに、色々なことがどうでもよく思えました。

馬の背

意外と斜度あります。

これについては、文句のつけようがなく、
とても正統派の感動が味わえます。
This is 観光地と言っていいと思います。

砂の質はとてもサラサラしていて、全然なしにくっつきませんでした。
足へのダメージもそんなにないでしょうか。
子どもからお年寄りまで、色んな人が馬の背に登ったり、思い思いの楽しみ方をしていて、良かったですね。

「人がゴミのようだ」とはこのことを言うんだろうな…

馬の背から西方向

馬の背から東方向

謎の緑の繁殖地(本当に謎らしい)

ヘミングウェイ「砂丘と海」

たぶん、ここで見る夕焼けはものすごくきれいなんだろうなと思います。
次は、そういった楽しみ方をしてみたいです。

See you next sand dunes!

ホルモンそば
すっごいやらかい質のよさげなホルモン使ってました。後やや辛め。

ホルモォォォォォオォォォォォォオォォォォォォォォオ

5日目
帰宅。
帰りも爆睡でした。



まとめ
正直言って、予定どおりにはいかなかった旅でした。
失敗したところも多ければ、逆にこれはうまくいきすぎだな、という部分も多かったです。
もう一度同じ行程で行ってこれるかと言えば、おそらく無理でしょう。
そんな、知識と知恵と運と判断と色んな人のサポートで成り立った旅になりました。
特に今回は、有名どころを中心に回ったこともあって、人がたくさんいる中での旅だったので、
そういった運任せの部分が色濃く出たのかなと思います。
そう考えると、いかにいつも人がいないところに行ってるかというのがわかってきますが…

これだけ調べていってもしまったという穴ルートがあったり、見逃してしまったスポットがあったり。
善しも悪しきも予測不能な出来事が起こったりするから、旅行ってやめられないんですよね。


山陰は、行きたいところがもっとあるんです。
今回断念した三徳山三仏寺投入堂だったり、SBのCMになる以前から注目していたはわい温泉だったり、
上げようとすれば、もっともっと出てきます。

JR山陰本線は日本で最も長い路線と言われますし、
いつか「山陰本線普通列車ぶらり旅」というのをやってみたいですね。


あと、外国人の旅行者を見かけることも多かった旅でした。
その中でふと思ったのが、
我々が国内の何かの舞台に行くだけで心にくるものがあるわけですから、
外国のそういった文化が好きな人にとっては、なおさらたまらないだろうなあというのは少し思いました。


この旅で、「どうしても行きたい!」というところはひと段落したかな、という感じがします。
今後のテーマは「テーマ旅」。
ぶらり旅はまだ私には早いと思いますが、
何かテーマ性を持った旅に出てみたいものだなと思います。

執筆 2013年5月5日
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