空と雨と庭と〜近江路名刹回遊〜

「比叡山に行きたい!」と思い立ったところから始まった今回の旅。
きっかけはなんと2011年GWの山口旅行の時にもらったパンフレット。
今まで温めておくとは、我ながらなんという執念、最早呆れの境地です。

はじめはそんな感じだったわけですが、滋賀のことを調べれば調べるほど、行きたいところがどんどん増え。
滋賀って、歴史的にも重要な地だったこともあって、名所の数は京都と肩を並べるくらいなんですよね。
泣く泣く行く場所を絞って、いざ近江路へ。

1日目
彦根城

国宝彦根城
日本に十二しかない現存天守閣のうち一つを擁するのがこの彦根城。
そのなかでも天守閣の美しさは随一とも言われています。
広大な庭園である玄宮園・楽々園も現存しており、できればゆっくり時間を取りたいところであります。

表門と堀



玄宮園

実際に目の当たりにしてみると、その美しさは想像以上。
日本人のイメージする城って、まさにこれじゃないでしょうか。


余談ですが、今回の彦根城で国宝四城(松本、姫路、犬山、彦根)については制覇。
十二天守については、弘前、丸岡、松江、備中松山、高知と、まだ先は長いようです…

西櫓から琵琶湖を望む

ひこにゃん
しかし、彦根城において私が一番話したいのは、この話じゃないんです。
そう、ゆるキャラ界において他の追随を許さないミスターゆるキャラ、ひこにゃんです!

ゆるキャラ界のトップをひた走るひこにゃん

旅行前は、ひこにゃんよりも彦根天守目当てで、
ひこにゃんが出てくる時間帯も知らずに行ったくらいなのですが、
行ったらちょうどひこにゃん登場。
予想していたよりも遥かに越えた愛らしさで、
これではひこにゃん目当てでない男性でもやられてしまいます。
あずまんが大王で言うところの“ペンギンの中に入ったちよちゃん”みたいな愛くるしさ。
ご当地名物というよりは、ディズニーとかサンリオのような人気だと言っていいでしょう。
なるほど、これは全国から人も押しかけて来ますわ。


夢京橋キャッスルロード
彦根城のお膝元・京橋には、「夢京橋キャッスルロード」なる古町が広がっています。
”OLD NEW TOWN”と銘打ったかつての街並み復活の試みで、これがまたいいんです。

夢京橋キャッスルロード

そして、どのお店も食べ物が美味しい。
私は、かき氷やたこ焼き、つぶら餅を食しましたが、頬が常にフリーフォール状態でした。
井伊家三代にあやかった「肉うどん」もありましたが、食べられず。


石山寺
紫式部にゆかりのある、石と山に育まれた名刹、石山寺。
旅行スケジュールはかっちり守る”ミスター時間厳守”の私ですが、 ここはあまりにも居心地がよくて、予定を大幅に越えて滞在してしまいました。

石山寺東大門

本当に立派な東大門がまず我々を出迎えてくれます。
これだけでもすごいのですが、中に入るとさらに見所満載です。

「いいぜ てめえが何でも思い通りに出来るってなら」

「まずはそのふざけた幻想をぶち殺す」

本堂については言うべきにあらず(回廊からの眺望はまさに荘厳)ですが、個人的に着目したのは、源氏物語読み上げロボット「MURASAKI」。
石山寺という歴史ある寺で、ボーカロイドみたいなことをやっているわけで、石山寺の懐の広さに感服しつつ、奇妙な体験をしてきました。

本堂

回廊からの眺め

石山寺と言えば硅灰石と多宝塔ですが、写真に撮ろうとするとどうしても石がメインになってしまいます。

硅灰石と多宝塔

多宝塔のみ

光堂は、壮大な造りの木造のお堂です。
周囲の構築物にも恵まれ、なんとも好奇心のわく風景が浮かび上がってきます。

光堂

石山寺の奥にひっそりと鎮座する八大龍王社は、周辺の神秘さも含め、まさに「隠れた名所」となっています。
円形の池の中央に社が鎮座している様は、どこぞの不良サークルのように、まさに異世界に迷い込んだような感慨を覚えます。

ほとんどピンボケしてたので、かろうじて見せられる写真(八大龍王社)

瀬田の唐橋

瀬田の唐橋
日本三古橋に数えられる瀬田の唐橋。
瀬田川の眺めからしてもう素晴らしいのですが、この橋が瀬田川にじつに映えます。
本当は夕日を見たかったです。

建部大社

近江国一宮 建部大社
瀬田唐橋からやや東に位置する、近江国一宮です。
拝殿が立派で、隠されがちな本殿もよく見えるのが印象的でした。
敷地も広く、古いながらもしっかり管理されていて、さすが一宮といったところでしょうか。

三井寺

三井寺仁王門。かなり立派
正式名を「園城寺」といい、石山寺や比叡山と並んで歴史のあるお寺です。
まず、お堂の大きさに驚かされます。
本殿である金堂や霊場である観音堂をはじめ、開かれているお堂があり、
普段はなかなか見ることができない仏像を間近で観察できたり、
弁慶が引きずったことで後がついたといわれる「引きずり鐘」など、珍しいものが展示されているのも特徴です。

本堂

弁慶の引きずり鐘

一切経蔵

三重塔

なお、いたるところに「映画版るろうに剣心」のポスターが貼ってありますが、ロケで三井寺を使ったようです。

三井寺最深の展望台となっているところからは、まず観音堂の境内を上から見ることができ、
ひとたび遠くに目を移せば、眼前には青々と佇む琵琶湖。
素晴らしい景色です。

観音寺を上から

三井寺から琵琶湖

もう紅葉が、はじまっていた。

旅コント
風花「ゴリョウ駅から先の料金は別払いになるんですか?」
駅員「御陵(みささぎ)駅から先は〜」

初見では読めません…

そうだ京都行こう
実はこの旅、計画を本格的に組み始めたのは1ヶ月を切った頃。
去年9月の福井もそうでしたが、安宿が全く取れないんですよね。
そこで思いついた
「滋賀の大津と京都って近いから、イザとなれば京都泊って手もあるよな…」

これが私が3年連続で京都を訪ねることになったすべての顛末です。
まあ、こんなことが事態の好転につながることもあるんですね。

八坂神社は夜のほうがきれいかもしれない

2日目
近江神宮

近江神宮
ちはやふるのアニメをやっていた頃から行きたいなと思っていた百人一首の聖地・近江神宮。
石段に辿り着いた瞬間、感情が爆発しそうになりました。
溢れる自然の緑に塗りに余念のない朱が映える、ちはやふる云々を抜きにしても私が好きなタイプの神宮。
時間が許せばいつまでも居たいくらいでした。

外拝殿

内拝殿

拝殿から楼門方面

そう、これですよ、これ。

「ちはやふる」OP再現

なお、私が行ったときには開館していなかったのですが、宝物殿でちはやふる特集をしていたようです。
立派なポスターも貼られてました。

大津で「かるた」に恋をする。

また、百人一首に縁のある神社だけあり、なんと百人一首の歌が展示されているんです。
そういった試みがいいですね。

ちはやふるラッピングトレイン
京阪電車がやってくれました。

強めの淡い色をふんだんに使った、ものすごいインパクトのラッピング電車です。
これは想定していなかったので、むちゃくちゃテンションが上がりました。
色遣いに力がありますよね。
これまでもラッピングは色々見てきましたが、その中でも一番印象に残ったかもしれません。
ちなみに、ラッピングについてのリーフレットも配布されてました。
大津市、本気ね!


比叡山延暦寺
滋賀県と東京都にまたがる比叡山。
伝教大師(最澄)が開いた天台宗の聖地としても有名ですが、
じつは延暦寺という固有の寺院があるわけではなく、
東塔・西塔・横川の広大な3地域の寺院群から成り立っています。

比叡山延暦寺東塔入口

東塔(とうどう)
カメラはおろか肉眼でさえその全貌が見えないようなとてつもなくどでかい根本中堂や法華総寺院東塔を擁する、比叡山の中心的地点です。

根本中堂

文殊楼

大講堂

個人的には、朱塗りの阿弥陀堂と法華総寺院東塔がよかったです。
東塔の中心からは少し離れたところにあるのですが、閑静な自然の中に厳かに存在しているので、心休まります。
阿弥陀塔の庭には、耳を傾けると耳に残る音が聞こえてくる水琴窟などもあり、静かに楽しむことができます。

阿弥陀堂

法華総寺院東塔

水琴窟

また、ここにある戒壇院も、あまり紹介されることはありませんがとてもいい建物です。

戒壇院

横川(よかわ)
横川中堂を中心とした横川は、他の塔に比べるとややこぢんまりしていますが、自然があふれるいいところです。


横川中堂

元三大師堂

西塔(さいとう)
釈迦堂、にない堂等を擁する西塔は、比叡山の中では最も古い地域となります。
そのためか、三塔の中では一番落ち着きました。
山道を歩いていき、10mくらいの青銅の塔、後輪塔を探したり。

この

2つのお堂を

結んでにない堂と呼びます

釈迦堂

相輪とう ※とうは木へんに堂の土が木になった字

一番楽しかったのは、瑠璃堂を訪れたときですね。
地図で見ると、西塔の中心部からはだいぶ離れている上に、自動車道を横切らなければいけないなどむちゃくちゃなルートが設定されているのですが、途中から楽しくなってきました。
蛙に出くわしたり。
瑠璃堂は、信長の焼き討ちの時に唯一燃えなかった建物なのですが、まさに龍神の社のような造りで、地味ながらも癒される建物でした。

瑠璃堂


比叡山から琵琶湖を望む

坂本
坂本は、比叡山のお膝元として栄えた門前町です。
日吉神社や旧竹林院などが鎮座しています。

滋賀院門跡

日吉大社
全国の日吉、日枝、山王神社の総本山です。
この珍しい鳥居はどこかで見たことがあるのではないでしょうか。

日吉大社

本宮として東本宮と西本宮という2つの宮が存在している珍しい神社です。
本当の本宮はどうやら今は奥社となっている所のようですが、かなり奥にあるため里社としたとか。

西本宮





東本宮




境内には多くの社がありますが、いずれも伝統と歴史を感じさせる非常に味のある社。
現在、東本宮本殿では屋根の修復工事を行っていますが、その様子を見ることができるようにもなっており、
色々見所のある神社で満足でした。

猿の霊石

旧竹林院
比叡山のお膝元・坂本にある庭園が有名な院です。
いろいろなところであまりピックアップされないという憂き目にあっていますが、ここの庭はとにかく素晴らしい。
書院前庭園ということでしたが、おそらく枯山水ということでいいでしょう。
庭園の中に鎮座する四阿(あずまや)の一つには「蓬莱」という名前も付いていたり。
よく整備され、好奇心をくすぐるような趣向が凝らされた庭は、
京都の青蓮院門跡にも勝るとも劣りません。

とにかくご覧ください








浮御堂

浮御堂
お堂が琵琶湖に張り出していることから“浮御堂”と呼ばれます。
琵琶湖をバックに堂々と佇む浮御堂は、何故か迫力満点。
それにしても、厳島にしろ、どうして水と寺社はこんなに親和性があるんでしょうか。


そして、海と同じ要領で湖風が吹くんですね。
一瞬海沿いにいるかのような錯覚を覚えます。
ここで夕焼けを見たらむちゃくちゃ綺麗だと思います。
閉門が午後5時なので、時期的に無理でした。

3日目
安土城

鳴かぬなら殺してしまえホトトギス

安土城跡と言えば、険しい石段・大手道に印象的なように、
自然の中…というよりはまさに山の中に生ける城と言っていいのではないでしょうか。
蛇を見かけたり、赤とんぼの大群の中を突っ込んでいったりと、
じつに長閑で居心地がいいところでした。

大手道

安土城の特徴として、とにかく石垣の積み方がすごいというのが挙げられています。
かなり昔の建築技術のはずなのに、緻密に積まれているんですよ。

石垣

信長廟

天守跡

そして、一見すると草むらに埋もれているかのように見える三重塔と、そこからみた西の湖の風景がこれまた良し。
信長は本当にいいところに城を建てたなあと思ったものです。

草むらに生える三重塔

安土城からの西の湖

仁王門

近江八幡

町並み
古くから近江商人の町として知られ、建築家・ヴォーリズが愛した街。
現在は、日牟禮(ひむれ)八幡宮を抱える水郷と古い町並みが特徴的な街となっています。
ちなみに、ヴォーリズは、けいおん!の学校のモデルとなった豊郷小学校(今回は訪れてません)の設計者です。

ヴォーリズ建築

日牟禮八幡宮

拝殿

本殿

能舞台

なんといっても一番の目玉はこの八幡堀。
蔵の街と呼ばれる地域は数あれど、ここまで堀がしっかり残されていて、今に生きているところはあまりないと思います。
見方としては、堀を橋の上から見る見方と、堀の脇の道まで下りる見方の2パターンがあり、
旅行誌などではたいていが橋から撮影したような写真なのですが、
個人的には、実際に堀まで下りてみた風景のほうが好きでした。

八幡堀













ビエンナーレ=2年に1度

なんかあった

青岸寺
最後に、米原駅からほど近い青岸寺。
枯山水庭園である「青岸寺庭園」が有名です。

この庭園は、彦根城の玄宮園・楽々園を造成する際に庭石が持ち出され荒廃するという歴史があったりしましたが、
時を経て、現在は財団法人が「庭園保存会」として成立し、管理しているという珍しい庭園でもあります。
枯山水の要素を凝縮して詰め込んだ、雰囲気のいい庭でした。

青岸寺の内部

※撮影許可をいただいています

こちらもとにかくご覧ください







旅路の果てに
いろいろな所に行きたいなあと思いつつも、写真を見たりして満足している部分って、どうしてもあると思うんですけど、
やっぱり、実際に見てみないとそのよさは分からないなあと思いました。

それと関連して、写真を取ることがメインじゃなくて、そこに行ってどんな出来事があったかということのほうがよっぽど大事だなあというのは旅行の度に思うんですけど、今回はより強くそれを感じました。
というのも、大きなお堂やパノラマ風景は、カメラで写すことができないからです。
今回の写真を見てもらえば、まあいつも通り下手な写真なのですが、見切れているものがいつもより多いと思います。
これで改めて気付かされたんですよね。
旅行に行ってモニターを覗いてるんじゃ、だめだと。
やっぱり、この目に焼き付けてこないと、だめです。


今回は、神社やお寺など、いわゆる「寺社・仏閣」がメインだったので、
そういったものに興味がなかったり、歴史は苦手…という人はなかなか足を伸ばしにくいところかもしれません。
しかし、私は歴史好きですが、ぶっちゃけ歴史の流れは全然把握してませんし、仏像とかだって名前すらわかりません。
ただ、見て、すごいなあと思ったりするだけ。
でも、それでいいと思うんです。

変に気張って頭でっかちになるより、
この目で見たものを素直にすごいと言えること。
そのことのほうが、とても素晴らしいことだと思います。


あと、今回見切れている写真がかなり多いのですが、やっぱりカメラに映すだけがすべてじゃないですね。
写真から見切れた風景は、この目に焼き付けてきました。



やっぱり、全力で行って、全力で観光して、全力で戻ってくるのこそ私の旅行。


執筆 2012年9月19日
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