秒速3333センチメートル


タイトルからピンと来た方もいるかもしれませんが、新海誠の映画「秒速5センチメートル」の舞台探訪も兼ねて、栃木へ行ってまいりました。
ちなみにタイトルは電車が時速120キロで走った時の秒速となっております。

今回もまた18きっぷ利用。
前回の横浜でも「下調べが…」と書いた記憶がありますが、今回はさらに調べる時間が全くなく、
行く場所を大まかに決めて、その地図を印刷する程度しか事前準備が出来なかった中での旅行でした。
いつもだったら綿密に詰める電車のスケジュールでさえ、今回は行きのしかも途中までしか調べていないという、まさに”吶喊”といった感じ。
そんな行き当たりばったり旅の顛末をお届けします。

岩舟駅
まずは両毛線を使い、秒速5センチメートル第一話「桜花抄」の舞台となったJR岩舟駅へ。
無人駅なので、18きっぷを見せる駅員もおらず、仕方ないのでどこかにある監視カメラに向けて18きっぷを示してきました。

JR岩舟駅

岩舟駅の外から

岩舟町。
印象は本当ののどかでいいところなんですけれども、いかんせん何もありません。
「秒速5センチメートル」のポスターで使われた店(ポスター左側の灯りがついている店)が普通に営業しているくらいです。

まさにここがポスターの場所

ポスター的には縦長に見るといいかもしれない

映画で印象に残るスポットを見るのにも、多く見積もっても15分とかからないくらいで回りきることができます。
私も1時間いる予定を30分に縮めました。

第三話より、灯里の旅立ち。鉄線が綺麗

だからといって、期待はずれなのかといえば、ここが実にいいところなんです。

周りに都会的な物や高層ビル、コンビニといった、便利ではあるけれども原風景を犯してしまうようなものが全くないため、
ノスタルジックな雰囲気を醸し出す駅と線路の風景が実にすばらしいのです。
新海誠はよくこんな場所を知っていたなとただただ感心させられるばかりでした。

桐生・高崎方面。何もないため線路が綺麗に映える

正直、舞台とは知っていても「岩舟え?」とピンと来なかった所はあったのですが、
映画を見た方なら、現地に行って「あ、あそこだ!」と思う場所があるかと思います。
秒速5センチメートルを嗜んだ方は、ぜひ。
何もないことが美しいことだってあるのです。

ベンチが新しくなり木製のものに変えられていました(作中では青)

待合室。しかも撮る構図が違う

以上、岩舟駅でした


おまけ:小山駅での両毛線の標識

蔵の街栃木
岩舟から電車を走らせること2駅、栃木駅があります。
駅舎がものすごく立派なので、栃木県の県庁所在地か、と見まがうほどなのですが、
実際は栃木市という、普通の地方都市でございます(ただし栃木県庁が最初におかれたのはここ)。

栃木駅。外観が立派な上に構内も広い。しかし通っているのは両毛線と東武鉄道のみ

「たったひとりしかない自分を、たった一度しかない一生を、ほんとうに生かさなかったら、人間は生まれてきたかいがないじゃないか。(山本有三/路傍の石)」旅先で深く考えさせられた


この栃木市は、蔵の街として有名です。
なぜかわからないんですけれども、私は図らずとも”蔵の街”と呼ばれるところにはなにかと縁がありまして。
そこがメインではないんですけれども、旅行のついでとか主目的が別とかで行っているんですね。
河崎(三重)や川越(埼玉)に引き続く第3弾でした。

結論から言ってしまいますと、今まで行った”蔵の街”の中では、栃木が一番良かったです。

まず、雰囲気がよく、人が明るいのです。
とあるところでは、宮司さんに挨拶をされましたからね。
日本広しといえども、神社で宮司が挨拶してきたところなんかありませんでした。

そして、町並みがよく、観光地のなんたるかを知っているような作りになっていました。
栃木市は、川越に比べて蔵が多いわけではなく、点在しているんです。
ただ、そこに至るまでの看板や現在地図が非常に多く、観光しやすいですし、
メインとなる「蔵の街大通り」には、大正時代のような形の街灯が並ぶなど、雰囲気作りも抜群。
思わず「私がやりたかったのはこういうまちづくりだ」と思ってしまったほど。

蔵の街大通りの町並み

決して古い街並みを壊して現代化するのではなく、古き良き物を残したまま、現代に適応したな、という感じでした。
なので、ものすごく私好みの大正時代っぽい建物があるな、と思ったらそこが例幣使街道だった、なんてこともありました。

蔵の町観光館

あだち好古館

山車会館



近龍寺



神明宮

神明宮の奏楽殿

くぐって回ると知恵がつくそうなので回ってきました

山本有三ふるさと記念館

例幣使街道

岡田記念館無料休憩所

小江戸火消し館(無料)

岡田記念館

翁島

栃木病院。普通の病院かと思ったら観光の一部になっている模様

横山郷土館の船着き場。正面がどこかわからなかった

県庁堀

市役所別館

前述の下調べが足りないところもあり、設定時間が少なかったため(それでも岩舟駅のストックがあったので予定よりも30分時間は多かったのですが)2か所ほど見ようと思っていて見れなかった所があったのは残念だったのですが、
塚田歴史伝説館のところの幸来橋からの眺めを見た瞬間、そんなのは吹っ飛んでしまいました。
それくらいいい風景だったのです。

蔵の街栃木 とはこのことである

蔵通りを歩いてみよう

塚田歴史伝説館。名前の時点で凄まじいが、中に展示されているのはからくりロボットだったりでさらに凄まじいらしい

川では渡し船があったりと、本当の情緒たっぷり。
ここの船頭さんにも挨拶をされました。
本当にいい街ですね。

渡し船


素晴らしかったんですけど、問題点というかこうしたほうがよりいいんじゃないかという所があったのでちょっと書いてみますと、蔵というものは外から見れてしまうので、展示館の中に入らなくても立派な観光になってしまうんですよね。
私は実際いろいろな場所を回って、入ると有料のところも回ったんですけれども、外観を楽しんだだけで、料金を払って中に入ったところって1つもないんですよ。
まあ、蔵の街地区をぐるりと回るだけでも1,2時間はかかるような、そんないい観光資源だということがあるかあ、こういう事態が起こっているのですが。

あとは、1館の料金が高いんですよね。
複数の館を見てしまうとそれだけでかなりの時間がかかってしまいますので。
それこそ、単価を下げて一つだけでも見れるようにした方が、もっと収入は増えるような気もします。
時間の問題も大きいのでしょうけれども、食べ歩きできるようなものもなかなか見当たりませんでしたし、さらに工夫すればもっと人を呼び込める観光地になると思います。
まあ、難点は交通の便なので、難しいところですが。


問題点を書いてしまいましたけれども、本当にいい時間を過ごさせてもらいました。
願わくばもう少しゆっくりしたかったです。

餃子市宇都宮
餃子を食べたい、というその思いだけで宇都宮へ。
ぶっちゃけ腹が減っていたんだと思います。
しかし、昼に食べた餃子で満腹になってしまい、今回はほとんど食べ歩きができませんでした。

餃子像。言うほど目立つ所にはなく、あまり人気も…

宇都宮って、人口50万を抱える大都市のはずなのに、何かそんな感じがしなかったんですよね。
人も予想よりかなり少なかったですし。

たしか田川。宇都宮メインストリートに面している

餃子はともかく、観光地としてはノーマークだったというひどい扱いだったので、行ってから観光パンフレットをもらったくらいなのですけれども、
ここでいきあたりばったり成分が全開となりました。

街灯。栃木のえらいところはこういうところだと思います

宝蔵寺のおよりの鐘

二荒山神社
「ふたらさん」だと思っていたら、正しくは「ふたあらやま」だそうです、ということで二荒山神社(ふたらさんは日光)。
メインストレートのど真ん中にえらい規模でドカーンと出てくるので、一瞬「ここは宗教都市か」と見まがうほどです。
…歴史をさかのぼってみると、この突っ込みは正しかったようで、
この二荒山神社を中心として栄えた町が宇都宮だったようです。
たしかに地名に「みや」が入りますもんね。

二荒山神社

木で出来た朱塗りしていない大鳥居と、本殿へと続く長く高い石段が目印。
私くらいの神社フリークとなりますと、そんな石段も屁の河童で登ってしまいますので、怖いですね。
まあ、塩竈神社のように石段が急なわけではありませんし、歩行者のことも考えて一段一段の高さが抑えられているようでした。

鳥居が朱くないのは珍しい

本殿

「あ」

「ん」

アナロウマ

何処にでもお稲荷さんがありますね

二荒山神社の異様な光景がこちら。真正面がメインストリート、神社の両隣は高層ビルと大型デパートです

宇都宮城址公園
関東七名城の一つ。
…なのですが、厳密に現存していたのは土塁の一部だけで、あとは復元なのだそうです。
というわけで観光客は私以外誰もいませんでした(あとは地域の方々)。

宇都宮城。これだけ見ると普通なのですが

これも歴史をひも解いてみますと、宇都宮は戊辰戦争の時にこっぴどくやられたせいでそういったものが残っておらず、
明治時代初頭には城自体が民間に払い下げられ、この時点からもう公園としての利用が始まっていたそうです。
そう考えると、今の利用のされ方もあっていると言えるのかもしれません。

そして、名古屋城でもあったあの「城エレベーター」がここにも。

出ました、名古屋城に引き続き城郭エレベーター

色々散策
松が峰教会は、宇都宮名産・大谷石を使った教会。
おごそかな雰囲気でした。



松が峰教会。空模様も相まって日本ではないような錯覚に陥る

官公庁群その一、宇都宮市役所。
もはやどの棟が本館なのかよくわかりません。

宇都宮市役所

官公庁群その二、栃木県庁。
何処の県庁も外観が似た通ったかのような。

栃木県庁。なんか宇都宮市役所のほうが高さがあるような…


樹齢400年の大いちょう。葉はもう皆散ってしまっていた

旧篠原家住宅

オリオン通り
パンフレットによると、宇都宮の代表的な商店街とのこと。
何処ぞやのさびれた商店街とは異なり、人がたくさんいました。

オリオン通り。人の出はかなり多く、本来の商店街がここにありました

そしてこの通りの持つもう一つの顔が、”北関東のアキバ”。
最近何かの記事で見た気がします。
その中心である「Festaビル」の内情をちょっと書いてみましょう。

6F ボークス
5F アニメイト、イエローサブマリン
4F まんだらけ
3F you-ki、ACCS
2F Cos Cute
1F フレッシュネスバーガー(店頭前に「クラシック、襲来」とエヴァ文体が)
B1F メロンブックス

とある商店街の異様な光景<みにあきはばら>

フレッシュネスバーガーは普通のバーガーショップなのに便乗しているところがなんとも哀愁を誘う

店一軒一軒の規模はそうでもないんですけど、さすがにここまで集約されていると圧巻ではありますね。
個人的にはボークスのドルフィーコーナーに度肝を抜かれました。



まとめ
岩舟も栃木もいいところでしたし、宇都宮も観光地としてはまあまあだったかなと思います。
車窓から見てもそう思ったのですが、昔ながらの街がいまだに残っているんですよね、栃木は。
あと、内陸県ではあるものの、けっこう水が溢れているなあという感じがしました。

今回もやはり時間配分をミスった感がありました。
よく調べていれば、もっと栃木に時間を取って、宇都宮も無駄に歩き回る所を減らせましたから。

私は旅の度に我武者羅に歩いたり走ったりするため足か腰をぶっ壊して帰ってくるのですが、
今回は体をいたわりながら、ゆったりした旅にできたんじゃないかなと思います。



執筆 2010年12月18日
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