SNOWというルーツ

まさか、今になっても、SNOWがバイブルであり続けるとは思っていませんでした。

どこか、頭の片隅で思っていたんです。
”10年も経てば、エロゲーはしなくなるだろうし、内容だって忘れていくだろう”と。
実際、私はエロゲーをはじめ、ADVゲームをすることはなくなりました。
でも…


SNOWは今でも、私のバイブルであり続けています。


SNOWという作品は、けっして若者向けのまやかしの作品ではありません。
今振り返ってみると、基本コミカルに見えても、とても大事な要素が含まれていることに気付きます。

毎回、必ずちゃんと食事の描写があって、「うまかった」と言って終わる。
確か、彼方が一日中家にいるときは、三食ともそのシーンがあったんじゃないかと。
その他にも、朝にモーニングコールがかかってきたり。
朝、窓を開けてその寒さを体感したり。
一日の最後はお風呂に入って疲れをったり。

これって、物語を描く上では、そこまで重要なことじゃないはずなんです。
実際、ここまで日常の当たり前のことを組み込んだ作品って、私はあまり記憶にありません。

書かなくてもいいこと。
でも、これって本当は大事なことなんじゃないかと。


私がSNOWと出会ったのは、人生のどん底に向かって急転直下していく、まさにその時期でした。
生きる意味が何か分からなかった。
どうやって感情を持ったらいいかわからなかった。
明るい未来が全く見えない自分がいた。

そんなくらやみに、「生きるって、楽しいことなんだよ。」という光を与えてくれたのは、間違いなくこの作品でした。


主人公の彼方は、このあとどうしようという漠然とした不安を抱えて、”フリーター”として龍神天守閣にバイトで来ます。
これは、よく考えてみると、これはまさに当時の私なんですよね。
生きることに不安しかなくて、このあとどうしようという漠然とした不安を抱えて。

心を動かされることによる感情と、日常のありがたさと、ライフサイクルへの憧れ。
それは、みんなSNOWが私にもたらしてくれたものです。
みんな、笑顔で居ること。
誰かを笑顔にするという、とても大事なこと。
ほんとうに大事な守るべきものがあるということ。



その”フリーター”は、今は、そこに住む人たちのも笑顔を増やすために全力で走り回ることができている……のかもしれません。



執筆 2015年6月12日
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